2026年版|富裕層(HNWI)の海外移住の流入・流出ランキングトップ10!
パンデミック期間中は、富裕層(High-Net-Worth Individualすなわち、HNWI)の旅行も通常より控えめで、移住するケースも減少傾向にありました。
しかし、百万長者、億万長者とも呼ばれるHNWIは、再び移動を始めており、構造的な長期トレンドとなりました。
2025年にはHNWIの移住が記録的な年となり、14万人2,000人を記録しました。
2023年の12万2,000人・2024年の13万4,000人と比較しても、かなりの増加傾向にあることが分かります。
2026年の予測では、更なる増加が期待され、最大で16万5,000人が移住すると見込まれています。
ヘンリー・アンド・パートナーズ(Henley & Partners)のプライベート・ウェルス・マイグレーション・レポート(Private Wealth Migration Report)は、過去10年間にHNWIが移住した国を追跡したものです。
ここでいう、HNWIとは、純資産100万米ドル(約1億6,000万円/2026年5月現在のドル円レート参照)以上の個人を指します。
2025年に多くのHNWIを迎え入れた国は、世界各地に分散しています。
アジア・オセアニア地域から流入のトップ10に入ったのはシンガポールとオーストラリアのみで他は中東、ヨーロッパ、北米などの国で構成されています。
それでは実際に2025年のHNWIの流入と流出のトップ10のランキングを見ていきましょう。
▼2025年のHNWIの流入トップ10(Henley & PartnersのCountry Wealth Flowsより)

HNWIの流入トップ10は下記のランキングとなりました。
1位:アラブ首長国連邦
2位:アメリカ合衆国
3位:イタリア
4位:スイス
5位:サウジアラビア
6位:シンガポール
7位:ポルトガル
8位:ギリシャ
9位:カナダ
10位:オーストラリア
2026年以降はイラン戦争勃発により、アラブ首長国連邦への流入は減少が見込まれますが、2025年時点では圧倒的な流入数を誇りました。
そして、真ん中の列は移住した富裕層の推定資産額を10億ドル単位で記録したものですが、アラブ首長国連邦では63億ドル(約1兆円)もの資産の移動が行われたと推定されています。
また、一番右の列のMillionaire Growthは2014年と2024年の富裕層の増加率を指していますが、アラブ首長国連邦はここ10年で98%もの増加を記録したことが分かります。
2位のアメリカ合衆国では78%の増加を記録しています。
アメリカ合衆国ほどの人口と経済力を誇る経済で、富裕層の数が78%もの増加を記録しているのは衝撃です。
中東を除くアジア圏は、シンガポールのみでアジアへのHNWIの移住は多くないことが分かります。
ヨーロッパの中で経済的にそこまで規模の大きくないイタリア・ギリシャ・ポルトガルなどは積極的に富裕層を受け入れて国力の増強を図っていることが言えます。
▼2025年のHNWIの流出トップ10(Henley & PartnersのCountry Wealth Flowsより)

HNWIの流出トップ10は下記のランキングとなりました。
1位:英国
2位:中国
3位:インド
4位:韓国
5位:ロシア連邦
6位:ブラジル
7位:フランス
8位:スペイン
9位:ドイツ
10位:イスラエル
なんと、イギリスが世界の中で最も富裕層の移住が行われた国の流入元となりました。
続いて、中国とインドといった人口の多い国が続きます。
韓国が4位に来ることも驚きを覚える方は多いかもしれません。
一番右の列のMillionaire Growthは2014年と2024年の富裕層の増加率と述べたとおりですが、中国とインドはそれぞれ74%と72%の高成長率でありながら、海外への移住の流入元ランキングも2位と3位に位置するのが特徴です。
政情不安や経済の乱高下から自身と家族を守るために移住を検討する大富豪が増加する中、世界各国の政府も資本と人材を自国に呼び込もうとする策を打ち出しています。
例えば、居住権や投資による市民権プログラムの導入など、利用可能な移住経路の幅を広げています。
歴史的に経済の課題を抱えるギリシャも、ゴールデン・ビザ・プログラムによって今後も継続的に富裕層を獲得すると予測されています。
富裕層は最低25万ユーロの不動産投資をすることで居住権を得られ、そして最終的にはEUパスポートを取得することができます。
Visual Capitalistでは、経済的自由度が高く、税負担が緩やかであったり、投資が容易であったりする国が富裕層にとって魅力的だと述べられています。(Visual Capitalistホームページより)
毎年多くのミリオネアが誕生するシンガポールは、世界で最も経済的に自由な市場であると述べられています。
一方で、HNWIの流出も一部の国で加速しています。
前述の通りに英国は2025年に16,500人の富裕層を失ったと予想されており、これは2位の中国(7,800人)の2倍近くです。
英国のEU離脱により、多くの企業や個人が、欧州の国境を越えた業務をシームレスに行うための労働力、資金、投資を簡単に移動できないようになっている影響が出てきています。
これらの国の多くでは、厳格な規制や腐敗した政府が、富裕層が自己資金の自由な管理を妨げています。
ロシアでは、ウクライナ戦争の影響で、多くの富裕層が西側諸国からの個人的な関税や貿易制限を受けています。
中国の香港に対する取り締まりから、香港はビジネスにとって魅力的な場所ではなくなってきています。
これらの国の中には、自国のHNWIが増えている国もありますが、千人単位でHNWIをネットで失うことで、経済にはかなりの影響があると考えられます。
全体として、HNWIの移動はますます活発化しており、パンデミック中の減少を除いては、この10年間で年々増加しています。
富裕層の移動と不動産
キプロス、ギリシャ、マルタ、モーリシャス、スペイン、UAE、カリブ海諸国など、人気の高い国々では、投資による居住権や市民権プログラムが魅力的な不動産オプションを提供しています。
ヘンリー&パートナーズのCEO ユルグ・ステフェン博士は、国際不動産は常に信頼できる資産クラスであり、数十年にわたってリターンを提供し、富裕層がポートフォリオを多様化することで資産を守り、増やすことを可能にしてきたと述べています。(参考記事はこちら)
博士は、不動産連動型投資移住は、居住権や市民権と国際不動産という2つの望ましい資産を、一度に取得できるまたとない機会を提供する、と指摘しています。
また、不動産は最も安定した長期投資の一つとして広く認識されているため、投資家の採算が取れる可能性が高いと言います。
投資家は、所有者として、購入した不動産に住むことも、別荘として利用したり、賃貸して副収入を得ることもできるので、ユーロのような通貨高での賃貸収入は、通貨安の国からの投資家には特に魅力的に映るだろうと述べています。
博士は、投資を伴う移住は、移動は富裕層の資産計画商品として定着してきているも述べています。
現在では世界中の多くの国が二重国籍を認めており、多くの政府が無借金の流動性を生み出す手段として、投資移住のオプションを再開、改良または新たに開発しており、買い手市場となっています。
ここ数年、投資移住は、ますます多くの投資家にとって、自分の富と遺産を守るために、資産計画の主流商品となっていると締めくくっています。
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