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海外不動産の相続税|評価のしくみは?専門家がわかりやすく解説

PropertyAccess Team |

監修:海外不動産税務の専門家 大木宣幸
(公認会計士・税理士・宅地建物取引士)
International CPA Firms・大木国際会計事務所 代表


「海外不動産の相続税の評価って複雑そう!わかりやすく知りたい」
「国外の不動産を相続するとき、どんな方法で評価する?」


日本国外に不動産を所有される方も珍しくない時代になってきました。

ご自身が海外不動産の相続人・被相続人となるケースも増えていますが、不安に感じている方も多いはずです。

この記事では、海外不動産の相続税について、専門家が評価のしくみを初心者にもわかりやすく解説します。

最後まで読むことで、相続税が課税されるにあたって、国外に所有する不動産が日本でどのように評価されるのか知識を深められます。

いざという時に備え、相続発生後の不安を軽減し、適切な対応をとるための参考にしてください。

なお、相続の手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。


▶あわせて読む
海外不動産の相続の手続きは?順番や確認ポイントを専門家が解説


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海外不動産の相続税評価のしくみ

海外不動産を相続する際は、その評価額に基づいて、日本で相続税が課されます。

ここからは、評価にまつわる気になる点をポイントごとに解説していきますので、一緒に見ていきましょう。



1. 日本の相続税がかかるケース

被相続人が日本国籍かつ相続人が日本の居住者である場合、日本の法律に基づいて、被相続人の全世界の資産(国内+国外)に対して相続税が課税されます。

したがって、相続税の課税対象となる国外の資産の評価額も算出する必要があります。



2. 評価方法の原則

海外不動産の評価も、基本的に日本の「
財産評価基本通達」に従い「時価」で行います。

同通達5-2(国外財産の評価)には、「国外にある財産の価額も、通達に定める評価方法により評価する」と規定されています。


<同通達5-2(国外財産の評価)>

5-2 国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する。 なお、この通達の定めによって評価することができない財産については、この通達に定める評価方法に準じて、又は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとする。(平12課評2-4外追加)

(注)  この通達の定めによって評価することができない財産については、課税上弊害がない限り、その財産の取得価額を基にその財産が所在する地域若しくは国におけるその財産と同一種類の財産の一般的な価格動向に基づき時点修正して求めた価額 又は課税時期後にその財産を譲渡した場合における譲渡価額を基に課税時期現在の価額として算出した価額により評価することができる。

(出所:国税庁


しかし、通常、海外では路線価等が存在しないため、日本の財産評価基本通達に基づいた評価ができない財産は、現地国の評価方式や実勢価格等をもとに評価することも認められています。



◎主に使用される評価方法

・現地の不動産鑑定士による評価
・現地の公的評価額(税務当局評価額)
・売買事例比較による市場価格の推定

不動産鑑定士に評価を依頼する場合は、信頼性が高い分、高額になることも多いです。



3.評価のステップ

海外不動産の評価は、土地と建物に分けて行います。

(1) 土地の評価

原則として、売買実例価額、地価の公示制度に基づく価格や鑑定評価額等を参考にして評価します。

(出所:国税庁

日本だと土地の路線価や固定資産税評価額が定められていますが、海外だとそのような制度がない国もあるからです。

現地で相続税に相当する税が課された場合、現地での相続税評価額を準用して財産を評価することもできます。
(出所:
国税庁

その価額が鑑定評価に基づいたものである場合など、時価として合理的に算定された価額であることが条件です。



(2) 建物の評価

不動産の取得価額をベースに時点を修正した価額や、その不動産を相続した日以降に譲渡した場合の譲渡価額をもとに評価できます。

時点修正とは、所在する地域や国における、その不動産と同一種類の不動産の一般的な価格動向を加味することです。


国によっては、日本のように土地と建物を分けて登記しないところもあります。

その場合は、合理的な根拠に基づいて土地と建物を分ける必要があります。

土地の評価額が検索できる国や地域ではその数字を利用したり、不動産鑑定士に土地と建物を分けて評価額を依頼したりすると良いでしょう。



(3) 証憑の準備

評価額の根拠として以下のような書類が必要になります。

・不動産鑑定書など
・固定資産評価証明書(現地)
・売買契約書・登記簿謄本(現地)

日本の税務署に提出する際、現地語または英語で書かれた原本のほかに、正確な日本語訳が求められます。



4. 為替レートの適用

海外資産の評価額は、日本円換算が必要になります。

換算には、相続により財産を取得した日(相続開始日=被相続人の死亡日)の為替レートを使用することが原則です。

外貨建て財産は、対顧客直物電信買相場(TTB)で換算します。

TTBは顧客が金融機関で外貨を邦貨に換える場合に適用されるレートで、「外貨建て資産を実際に日本円に換金した場合の金額」を評価の基準としています。

一方、外貨建て債務は、対顧客直物電信売相場(TTS)で換算します。

TTSは顧客が金融機関で邦貨を外貨に換える場合に適用されるレートで、「債務を外貨で返済する金額」を評価の基準としています。

したがって、海外不動産の価額を換算する場合に使用する為替レートは「TTB」です。


▼為替レート例(出所:
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 外国為替相場



相続開始日が週末などにあたって為替取引がない場合は、その直前の取引日のレートを使用します。




5. 基礎控除額や特例の適用の確認

相続税は、財産を相続した場合に必ず課されるわけではありません。

相続税の課税対象が、一定の額(基礎控除額)以下の場合は、相続税の申告は必要ありません。

(出所:財務省

この基礎控除額は、以下の計算式で計算します。

3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)   


(例)夫の遺産を、妻と子ども2人で相続する場合

基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。

相続した財産の価額が4,800万円以下であれば相続税はかからず、相続税の申告は必要ありません。


また、配偶者には配偶者の税額軽減という制度もあります。(出所:
国税庁

配偶者は、遺産総額が1億6千万円まで、もしくは法定相続分まで相続税がかからない制度です。


一方で、相続した不動産によっては、一定の面積を限度に評価額の減額を受けることもできます。
(小規模宅地等の特例)

被相続人または被相続人と生計を共にする親族が、事業用または居住用としていた宅地などが該当し、海外の土地であっても、要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用対象になります。

なぜなら、租税特別措置法69条の4第1項は、その土地の所在地による制限を設けていないからです。

これは、国税庁のページ「
相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」に詳細が記載されています。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けるには、申告が必要なので注意しましょう。




6. 二重課税と外国税額控除


海外の相続税と日本の相続税が二重に課税される場合、外国税額控除が適用されることがあります。

ここでいう外国税額控除とは、日本に居住する者が国外資産を相続した際に、現地でも日本でも課される二重の相続税を調整するしくみです。

とはいえ、現地国で課された相続税を全額控除できるわけではありませんので注意が必要です。



海外不動産相続の評価額を過少に申告すると、追徴課税や加算税の対象になる可能性があります。

また、国ごとの不動産取引慣行や課税制度に精通していないと、誤評価のリスクもあります。

特例・控除の適用についても、条件や手続きは複雑です。

利用できる特例は活用しつつ、正しく申告するためにも、海外取引に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。






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まとめ


今回は、海外不動産の相続税について、評価のしくみを詳しく解説しました。

被相続人が日本国籍の場合、相続人が日本の居住者である場合、日本の法律に基づいて、被相続人の全世界の資産(国内+国外)に対して相続税が課税されます。

海外不動産の評価も、基本的に日本の財産評価基本通達に従い「時価」で行います。

日本の財産評価基本通達に基づいて評価できない財産は、現地国の評価方式や実勢価格等をもとに評価することも認められています。

税務署に提出できるよう、評価の証拠となる書類を準備し、日本語訳の添付も忘れずにしましょう。

海外資産の評価額は、相続により財産を取得した日のTTBレートで日本円に換算します。


また、相続税は財産を相続した場合に必ず課されるわけではありません。

基礎控除額、配偶者控除、小規模宅地等の特例の適用ができるのか確認しましょう。

基礎控除額を差し引いて相続税がかからない場合は申告不要ですが、配偶者控除や小規模宅地等の特例を受けるには申告が必要です。

海外の相続税と日本の相続税が二重に課税される場合、外国税額控除が適用されることがあります。


海外不動産の相続税の評価は非常に複雑です。

正しく申告するためにも、海外取引に詳しい税理士に相談することをおすすめします。





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(トップ画像:Image by Gerd Altmann from Pixabay)

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