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[タイ] 新しいリース法:誰が勝って誰が負けるか?

PropertyAccess Team |

[タイ] 新しいリース法:誰が勝って誰が負けるか?

賃貸料・保証金、契約解除通知および光熱費についての明確化は各方面から歓迎されるでしょう。


2018年2月16日にタイ国官報に掲載された通知は、タイ国中の賃貸を行っているコンドミニアムオーナー、コンドミニアムのデベロッパーおよびアパート運営会社にパニックを引き起こしました。当該通知は、政府が、2018年5月1日より住宅のリースを契約に基づくビジネスと位置付ける法律を制定しようとしているというものだったのです。

この新法が、住宅物件の賃借人に対して不公平な契約条件からの保護を与える一方で、賃貸人(大家)はたちの悪いテナントの取り扱いが難しくなるのではないかという懸念を示しました。加えて、デベロッパーたちは、賃貸目的でコンドミニアムを購入する機会を探している投資家たちが恐れて逃げてしまうのではないかと心配しました。

何よりもまず、この新法により影響を受けるのは、個人投資家および企業で、一つ以上のビル内で少なくとも5物件を、個人に対して住居用として賃貸する者だということは明らかです。対象となる物件のタイプはコンドミニアムやアパートだけに限らず、一軒家や住居用として賃貸されるその他の物件タイプも含みますが、寮及びホテルについては別の法律の対象となります。



新法により制定される要件や制限の中でも、JLL社は以下の3点が賃貸主の懸念事項になるだろうとしています。

1. 賃貸主は、手付金1か月分、保証金1か月分以上を要求することができなくなる

保証金は、家賃や物件に対する損害があった場合だけでなく、未払いの光熱費などのテナントの責任をカバーするためのものです。新法施行前は、賃貸主は手付金と保証金、それぞれ家賃2か月分と1か月分を要求するのが通例でした。

1か月分の保証金があれば、賃貸主は賃借人がリース最終月に退去する際の最終月の家賃の受け取りが保障されるはずです。しかし、1か月以上賃借人が家賃を滞納するケースがあったり、さらに件数としては少ないですが、リース契約終了後にも賃借人が退去しないケースもあります。


2. 賃借人は、リース契約満了以前にリース契約を終了する権利があるが、終了予定日の少なくとも30日前に賃貸人に通知しなくてはならない

新法により、賃借人がリース契約満了以前には契約を終了する権利がないと誤解し、リース契約の早期終了の際に家賃と保証金を取ろうとする賃貸人に対して、同条件が明確になりました。


3. 賃貸人は、公益事業会社により適用される料金を超えた電気料金や水道料金を契約に定めることが禁止される

この新法は、管理会社が独自の光熱費を設定しており、管理会社によりその料金がかなり異なるようなアパートに住む賃借人から歓迎されるでしょう。ほとんどのコンドミニアムと、一部のアパートでは、公益事業会社からメーターが提供されない場合、共同所有者と管理委員会の間での合意により光熱費が設定できることになっていました。新法により、賃借人に対する光熱費の透明性がより提供されることになるでしょう。


その他にも賃貸人が懸念するような制限や要件が存在しますが、JLLはこれらの点に関しては法律の専門家にゆだねるとしています。たとえば、新法では、賃貸人が賃借人の重大な契約違反によりリース契約の解除をする際、重大な契約違反のいくつかのシナリオを契約内に盛り込まなくてはならないとしています。


不動産に与える影響は?

新法は、賃借人により大きな保護を、結果としては自信を与えるような設計がされており、リースに関する意思決定や取引プロセスの加速を促すでしょう。

この新法がタイ国内において賃貸による収益を目的として住宅物件を購入する機会を伺っている投資家を追い払ってしまうようなことにはならないでしょう。それどころか、リース取引に関する正式なガイドが出たことにより、投資家は安心するはずです。

賃借人に対する保護が強化されるので、賃貸人は、入居してくれるテナントや、そのテナントを紹介してくれるエージェントを選定する際により注意深いアプローチをとることが期待されます。

管理人や資産管理者は、法律の変化点をよく認識する必要があるでしょう。というのも、共同所有者やテナントから質問を受けるのは、通常は資産管理者だからです。そうはいっても、管理人も資産管理者も、リースの実行に関する責任は何もないことは明確にしておかなくてはなりません。リースはあくまで、物件の所有者とそのテナントの間での契約上の取り決めです。新法またはリースの取り決めに関して何らかの疑問がある場合には、法律事務所などに相談をするのが良いでしょう。

また、賃借人も賃貸人も、コンドミニアムの定款や規程があればそれにも従わなくてはなりません。新たに契約を結ぶ場合、これらの定款や規程などにも目を通しておくことが望ましいでしょう。


※本規則の原文(タイ語)はこちらからダウンロードできます

(出所:Bangkok Post

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