[フィリピン] 不動産業界の復活が本格化

2023/07/13


フィリピン経済が完全に復活モードにある今、不動産市場も活気を取り戻してきています。コロナ禍、不動産業界が大きな打撃を受けたことは記憶に新しいでしょう。移動制限によって、労働者が建設現場に出勤できなかっただけでなく、建設手順にも厳しい制限が課されました。



リアルエステートグループ・フィリピン(Real Estate Group Philippines)のレポートによると、例えば、アヤラ・ランドの売上高は、2019年の1,680億ペソから2020年は960億ペソへと約43%減少しました。また、SMプライム・ホールディングスの収益は、2019年の1,180億ペソから2020年は810億ペソに31%減少しました。



コロナ関連の規制が緩和され、そして最終的に解除されたことで、不動産デベロッパーは、コロナ禍で休止を余儀なくされたプロジェクトの再開に奔走しています。また、半ばで止まっていた開発計画も再び動き出しそうです。需要も持ち直してくることが予想されています。総合不動産サービス会社コリアーズは、2023年コリアーズ・グローバル・インベスター・アウトルック(フィリピン版)の中で、不動産物件の取引額は2022年比で0.7%、取引件数は2%成長すると予測しています。



オンラインニュース「Manila Bulletin」は、プロジェクトの数や種類の増加だけでなく、デベロッパーの顔ぶれにも非常に心強い兆候が見られる、とコメントしています。その理由は、フィリピンに新規参入した企業のひとつに、不動産大手のフェデラル・ランド社(FLI)と野村不動産株式会社(NRE)の合弁会社、フェデラル・ランドNREグローバル社(FNG)です。



フェデラル・ランドは、GTキャピタル・ホールディングスの完全所有する子会社です。フェデラル・ランドは、フィリピンの不動産セクターにおいて、過去50年にわたり、革新的で良質な不動産開発および統合型コミュニティをを行ってきました。一方、野村不動産は、1800年代後半から続く金融・投資サービス・グループである野村ホールディングスが所有しています。NREは、日本の技術革新、テクノロジー、デザインを、フェデラル・ランドが持つフィリピン市場に関する幅広い知識と、良質で革新的な物件による揺るぎない評価とを融合させるとして、フィリピン不動産シーンに新たな局面をもたらすことが期待されています。



野村不動産によるFNGへの出資は、不動産セクターへの影響だけでなく、フィリピン政府が推進する対外投資の拡大にも大きく貢献するものです。事実、フェデラル・ランド社との提携は、日本国外における野村不動産が一回で行った投資としては最大規模だということです。現地ニュースは、野村不動産は、住宅販売戸数で日本第2位、連結売上高で第5位の不動産デベロッパーであり、野村不動産とFLIとの提携は、フィリピン経済およびビジネスの将来性、そしてフェデラルランドの不動産開発能力に対する大きな自信の表れだと評価しています。



野村不動産ホールディングスのウェブサイトによると、提携による資本投資額は約480億ペソで、出資比率はフェデラルランドが66%、野村不動産が34%となります。野村不動産は、約160億ペソを出資しています。



FNGは、フェデラル・ランドと野村不動産のこれまでの提携を拡大するものです。両社は、三越伊勢丹ホールディングスと共同で、ボニファシオ・グローバル・シティにある4棟のタワーからなる高級住宅開発「ザ・シーズンズ・レジデンス」を手がけています。このパートナーシップにより、フィリピン初の三越も誕生しました。ザ・シーズンズの最初の3棟の成約率は90%以上と好調で、近く4棟目の販売も開始されます。



FNGの初期プロジェクトには、マニラ首都圏、カビテ州、セブ州にある総面積約250ヘクタールの4つの土地開発地域の組み入れが決定しています。これらには、住宅、オフィス、商業施設が含まれており、総事業費は約7,500億円ということです。この大規模プロジェクトにより、操業開始から5年以内に、管理、エンジニアリング、建設関連業務など6,000の雇用機会を創出することを目指しています。



FNGはまた、間もなく始まる開発において、日本の革新とフィリピンの感性のユニークな融合を通じて、住む人の生活体験を高めることを目指しています。持続可能なスマートシティの推進、日本のコンセプトの存在、そして顧客第一の考え方によって差別化を図っています。



フィリピンの不動産市場は、2023年にさらなる加速が見込まれています。消費者と投資家の信頼感が高まり、国内の主要インフラが完成することで、不動産業界は待望の復活を遂げようとしています。国内外の不動産デベロッパーの関心も高まりそうです。




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・野村不動産
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(出所:Manila Bulletin

(画像:UnsplashのIan Romie Onaが撮影した写真)