[インドネシア] NASAが新首都の衛星写真を公開

2024/04/30


2022年の夏以来、ボルネオ東部のジャングルは急速な変化を遂げています。東カリマンタンのバリクパパン湾の近くでは、インドネシアが新たな首都を建設するため、道路が景観に刻まれ、建物が増えています。



インドネシア政府関係者によると、ボルネオ島での新首都開発は、インドネシアの現在の首都ジャカルタが直面している無数の環境問題が大きな動機となっています。3,000万人が住むジャカルタの都市圏は、ここ数十年で大幅に拡大しました。頻繁な洪水、激しい交通渋滞、有害な大気汚染、飲料水不足は日常茶飯事です。また、地下水の過剰な取水により、ジャカルタは急速に地盤沈下が進んでいます。地盤沈下の速度は年間15cmに達するとも言われており、現在では市街地の40%が海抜ゼロメートル以下だということです。



2019年、インドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏は、国の行政の中心地を人口の多いジャワ島から人口の少ないボルネオ島に移すと発表しました。マカッサル海峡から30キロ内陸に入った森林とアブラヤシのプランテーションが広がる地域で、2022年7月に「ヌサンタラ」と呼ばれる新しい首都の建設が始まりました。




▼NASA衛星写真(出所:NASA earth observatory)

2022年4月26日2024年2月19日


上の画像は、NASAが発表した2022年4月(左)と2024年2月(右)のヌサンタラの現場です。2024年の画像では、道路網の開発のために、土壌が露出している状態が見て取れます。ヌサンタラの開発当局のウェブサイトによると、開発の初期段階(2022年から2024年)では、予想される初期人口50万人のために政府施設やその他の建物を建設することになっています。



プロジェクト計画では、再生可能エネルギーで動く「グリーンで歩きやすい」大都市となり、街の75%は森林を残すとしています。しかし、一部の研究者は、この土地利用の変化が地域の森林や野生生物に害を及ぼすのではないかと懸念しています。開発中の土地と沿岸海域は生物多様性に富み、マングローブ、テングザル、イラワジイルカが生息しています。



この1年半で現場は大きく変わりました。インドネシアのニュース局Antaraが2024年2月7日のオンラインニュースで報じているところによると、大統領府の建物は72.19%が完成したということです。しかし、街の完成にはまだまだ時間がかかりそうです。新首都の完成は、2045年が予定されています。





(出所:NASA earth observatoryNusantaraAntara

(画像:UnsplashのBarkah Wibowoが撮影した写真)