高級不動産価格が第3四半期までで2.7%上昇

2018/12/04

高級不動産価格が第3四半期までで2.7%上昇



高級不動産の価格が、43都市で2018年9月末までに2.7%上昇したと、ナイトフランク社が発行した、最新のプライム・グローバル・レジデンシャル・シティーズ・インデックスQ3が報じています。今回の価格上昇は、過去6年間のうちで年率としては最もインデックスが低迷する結果となりました。

ナイトフランクのリサーチヘッドのニコラス・ホルト氏は、「2018年第3四半期、アジアパシフィックのプライムレジデンシャル市場は低迷を続けました。17の地方市場のうち、13の市場で、前四半期と比較して成長率が鈍化しました。金利の上昇、投資過熱抑制策や世界経済の悪化の見通しなどが、この地域のプライム市場の低迷に貢献する要因となった形です。」と述べています。

「改善の余地もありますが、これらの向かい風が強まる中で、年末に向けて、多くの都市のレジデンシャル市場の心理は弱気な状態が続くでしょう。」

インデックスをけん引するのはシンガポールで、プライム価格が12か月(2017年第3四半期から2018年第3四半期)で13%上昇しました。これは、プライム物件に限りがあることと、2018年前半期の市場の見通しが堅調であったことによります。

シンガポールのアナリストたちは、デベロッパー各社がかなりの高額で取得した土地に開発した物件を市場に出してくることから、年末までにプライベート住宅価格に新しいピークが到来するのではないかと見ています。

都市再開発庁(URA)によると、プライベート住宅価格は4期連続で上昇、第2四半期の3.4%増、第1四半期の3.9%増に続きました。

「香港とシンガポール、アジアの二大都市は、昨年その地位を交換しました。どちらの都市も、夏に投資過熱抑制策が導入され、香港の年間価格成長率はすでに5.5%までに低下していましたが、シンガポールも四半期成長率が2018年第3四半期には1.7%に低下したことで、そんなに遅れをとっていないかもしれません。」

クアラルンプールは、インデックスで29位にランクイン、過去12か月(2017年第3四半期~2018年第3四半期)でプライム価格が0.7%上昇しました。

ナイトフランクは、クアラルンプールの高級コンドミニアム市場について、市場が自信を新たにし、市場心理も強気になってきている背景を受けて、今年は改善がみられるのではないかと見ています。

同社の2018年前半期の「不動産ハイライト」レポートの中で、新政権の政策がより明確になるにつれ市場が安定化すれば、マレーシアは投資家の注目を浴びるだろうとしています。


入り混じったパフォーマンス

インデックスによると、ヨーロッパのパフォーマンスは、昨年と比べると入り混じった状態となりました。依然強気なパフォーマンスを見せる都市(エジンバラ、マドリード)がある一方で、安定局面に入った都市(ベルリン、パリ)、価格成長率がマイナス圏内のままだった都市(ロンドン、ダブリン)もありました。

ロンドンでは、欧州連合からの英国の離脱(ブレグジット)にかかる不確実要素があることから、プライム価格が昨年2.9%下落しました。この傾向は、税制改正を受けて多くの家主が所有する物件を売ろうとしたことから、供給面の成長の鈍化によりさらに悪化しました。

2018年はインデックスの転機の年となりました。昨年ナイトフランクが予想した成長の低迷というストーリーが現実のものとなったのです。成長率は3期連続で低下、2012年第4四半期以来の底値に達しています。

ブレグジットにまつわる不確実性、主要諸国における金利上昇、規制面の強化や複数都市における高い供給の残りなどが合わさって、価格成長を妨げる結果になっているのです。

インデックスの全体の数値2.7%には、同一大陸内、さらには同一国内の様々な変動が隠されています。

例えばカナダでは、トロント(8.5%)がローズデールやヨークビルといった高級エリアでのプライム価格が上昇を続けています。

しかし、バンクーバー(-11.2%)では、ウェストバンクーバーなどの高級エリアにおいて2月予算で導入された諸政策の結果、販売と価格が大きく低迷したことにより、ランキングの最下位となりました。

今四半期、プライムインデックスにオークランドが初めて加わりました。7月1日以降導入された海外バイヤーによる既存不動産の購入禁止(新築物件は除く)にかかわらず、高級価格は9月までの1年間で8.5%上昇しました。

(出所:New Straits Times