[マレーシア] 安定した成長の兆しを見せるジョホール州の不動産

2024/04/01


ジョホール州の不動産市場は、シンガポールからの旺盛な需要に支えられ、前年から顕著な改善が見られています。この購入傾向は今後も続くと予想されています。



データセンス(DataSense)社のProperty Market Outlook Report 2024によると、イスカンダル・プテリは外国人需要の割合が最も高く、主にシンガポール国民と永住権保持者(PR)からの需要が目立っています。



同レポートでは、シンガポールの不動産価格が歴史的なピークに達しており、それがジョホール州の不動産需要にも拍車をかけていることを強調しています。



不動産の売買・賃貸情報サイト PropertyGuruマレーシアは、ジョホール州でも、特にジョホールバルの不動産需要の大幅な上昇を報告しています。



同社のカントリー・マネージャーであるシェルドン・フェルナンデス氏は、2026年の高速輸送システム(RTS)リンクの完成は、ジョホール州の経済に革命をもたらし、シンガポールとの接続を強化し、特にジョホールバルの不動産市場に活力をもたらすと述べました。



フェルナンデス氏によると、2023年4月にRTSリンクが50%完成したことで、ジョホールバルの不動産需要が17%上昇しました。



フェルナンデス氏は、ジョホール州は重要な変貌を遂げつつあり、最も高い不動産オーバーハング(売れ残り)との闘いから強みへと、位置付けが移行してきていると述べています。



マレーシア国家不動産情報センター(NAPIC)のProperty Market Report 2023によると、ジョホール州のオーバーハング状態の物件数は、2022年の5,258戸から2023年には4,228戸と20%減少しています。



フェルナンデス氏は、このオーバーハングの減少について、RTSリンクの開発、金融特区(SFZ)としてのフォレスト・シティの設立、ジョホール・シンガポール経済特区(SEZ)の計画など、ジョホール州政府が主導するさまざまな取り組みが、この前向きな変化をもたらしたと述べています。



また、クアラルンプール-シンガポール高速鉄道(HSR)の復活の可能性も大きな要因だといいます。



フェルナンデス氏は、このような努力は不動産需要を刺激するだけでなく、不動産価値も上昇させると強調しています。



ジョホールバルのサービスレジデンスの希望価格の中央値が前年比20%増と大幅に上昇しているようです。



特に、501~750平方フィート(46.5~69.7平米)の物件は27%、751~1,000平方フィート(69.8~92.9平米)の物件は18%、1,001~1,250平方フィート(93.0~116.1平米)の物件は15%の伸びを示しているということで、小規模な物件ほど価格上昇が顕著になっています。



フェルナンデス氏は、エントリーコストの低さや交通ハブへの近いことで、広い居住スペースよりもシームレスな接続性を好む傾向に軍配が上がった可能性があると述べています。



Global Property Guideによると、2024年第1四半期時点でマレーシアの平均総賃貸利回りは5.16%ですが、フェルナンデス氏によると、ジョホール州は全国平均を上回る6.25%を記録しているということです。




フェルナンデス氏は、RTSのような大規模プロジェクトや、経済の中心地としてジョホール州を盛り上げていくその他のプログラムを念頭において、マイホームバイヤーや投資家に対して、ジョホールバルとその周辺郊外を慎重に評価するよう提言しています。



また、現在ジョホール州で行われている取り組みや今後予想される経済の拡大に後押しされ、ジョホール州は魅力的な不動産機会をもたらす可能性のある明るい未来を有していると締めくくっています。




(出所:New Straits Times

(画像:UnsplashのVen Jiun (Greg) Cheeが撮影した写真)