[インドネシア] ジャカルタ不動産市場2023年3Q

2024/01/04


総合不動産サービス会社クッシュマン&ウェイクフィールドは、市場およびサブマーケットレベルの需給および価格動向を含む、四半期ごとの経済および商業用不動産の動きを分析したレポート「マーケットビート」で、2023年第3四半期の不動産市場を以下のように総括しています。



CBDオフィス 

2023年末まで竣工予定のオフィスビルからの追加供給を考慮すると、総需要が新規供給を上回る可能性が高いため、空室率は2022年比で若干低下すると予測されます。



小売 

一部のショッピングモールは、若い世代の嗜好に合わせ、より総合的なショッピング体験を提供するため、改装を進めています。同時に、オープンスペースコンセプトのプロジェクトが人気を集めており、デベロッパーは小売不動産開発への革新的なアプローチを積極的に模索していると述べています。



コンドミニアム (以下に詳細あり)

コンドミニアムのプレセール(計画・建設中の段階での販売)の販売率は59.4%と、前四半期から2.0%低下しました。これで、将来的に吸収されるべき在庫が42,032戸残ることになります。



賃貸アパート

潜在的なテナントを誘致するため、ほとんどの賃貸アパートメントでは、交渉次第で賃貸料の割引が受けられる状態のようです。賃貸アパートメントの平均賃料は、需要の増加に伴って、前四半期比7.5%増、前年同期比8.7%増の平米当たり170,370ルピア(約1,576円)となりました。



工業

2023年第3四半期に取引された工業用地の総面積は52.69ヘクタールでした。データセンターが取引の34%を占め、次いで製造が11.3%、自動車が9.2%、包装や化学を含むその他様々なセクターが残りの需要を吸収する結果となりました。




※コンドミニアム市場


供給:限られた新規供給

クッシュマン&ウェイクフィールドによると、2023年9月末現在、グレーター・ジャカルタにおけるコンドミニアムの累積供給戸数は380,497戸で、前年同期比7.7%増、前四半期比1.35%増となりました。ジャカルタの西側に位置するタンゲランでは、第3四半期中に4つのプロジェクトから約4,900戸のコンドミニアムが竣工しました。Urbn-x Lippo VillageとTwo Senopatiの2つのプロジェクトが第3四半期に市場に投入され、コンドミニアムの総供給予定戸数は約103,442戸となりました。デベロッパーは引き続き、竣工プロジェクトの販売と建設中のプロジェクトの完成を優先しており、2023年末までは限られた新規供給しか見込めないとクッシュマン&ウェイクフィールドは述べています。コンドミニアム建設計画の中には、棚上げとなり、需要の鈍化を受けて、土地付き住宅など他の開発に設計変更されたものもあるということです。



需要:全体として純増率は低調に推移 

中古マンションの販売率は93.8%と、追加供給が少なかったにもかかわらず、前期比0.2%増、前年同期比0.3%増にとどまり、需要は比較的低調に推移しました。プレセール物件の予約率は59.4%と前四半期比2.0%低下し、今後42,032戸の吸収されるべき在庫が残ることになります。コンドミニアム全体の純成約戸数は、中古・新築ともに軟調に推移し、前四半期から半減となりました。とはいえ、入居率は前四半期比2%上昇し、59%となりました。交通指向型開発(TOD)エリア、特にLRT駅に近接するプロジェクトで顕著な改善が見られ、ほとんどの取引は小規模で手頃な価格の中低価格層のセグメントのプロジェクトでした。



価格: 販売価格は比較的安定

首都圏を形成する、ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシをまとめた『グレーター・ジャカルタ』と呼ばれるエリアにおけるコンドミニアムの販売価格は約4,810万ルピア(約44万円)(前期比0.8%、前年同期比5.7%)で推移しました。二次地域は最大で前四半期比2.7%増と大きく上昇を見せましたが、その他の地域は横這いでした。新規竣工物件の大半は、セカンダリー市場での競合に対応するため、価格を維持しているということです。





(出所:クッシュマン&ウェイクフィールド

(画像:Pixabay