マニラの投資環境と新規プロジェクト2019 (2/2)

2019/05/02

マニラの投資環境と新規プロジェクト2019年 (2/2)


気になるトピック

前回の記事では、マニラの投資環境についての各不動産コンサルティング会社のレポート内容をご紹介しました。
では次に、その中でも気になるトピックを説明していきましょう。

(1) ベイエリアとオンラインゲーミング

■オンラインゲーミングとは?

オフショアオンラインゲーミングとは、インターネット上の賭博です。政府が所有するフィリピンゲーミング公社(Philippine Amusement and Gaming Corporation (PAGCOR))の規則では、外国に住む外国籍で、21歳または居住する国で法定年齢に達している者のみが、フィリピンを拠点としたオンラインゲーミングに参加できるとしています。PAGCORは、国内外のフィリピン国籍の者または外国籍でフィリピンに合法的に拠点を置いている者は、フィリピンを拠点とするオンラインゲーミングにアクセスできないとしています。

プレイヤーは、インターネットにアクセスできる通信機器を使って、ゲームに遠隔でアクセスします。ゲームに参加するには、登録および支払が必要です。

オフショアゲーミングオペレータは、プレイヤーが遊ぶゲームを提供し、掛け金を受け付け、プレイヤーに賞金を支払う法人です。

オフショアオンラインゲーミングは、スポーツ賭博からE-カジノ(ランダムな数字を発生させるものから、ライブのディーラーによるゲームまで)まで多岐にわたり、テーブルゲーム、スロット、ルーレットやサイコロゲームや、スキルゲームにアーケードタイプのゲームも含みます。

オフショアオンラインゲーミングには、ゲーミングシステムやゲーム、スポーツギャンブルやプールベットを提供するソフトウェアやプラットフォームのプロバイダも含まれます。コールセンターやサポートサービス用のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)プロバイダ、実際ディーラーのいるスタジオでカジノのゲームをオンラインでリアルタイムに放映するデータまたはコンテンツストリーミングプロバイダ、支払ソリューション、プレイヤー登録、ポイント還元やマーケティングモジュールを提供するゲーミングサポートプロバイダも含まれます。

(出所:Inquirer


■フィリピンにおけるオンラインゲーミング

フィリピンはオンラインギャンブルにおいては比較的新しい市場です。ギャンブルという点では、国内に2つのエリアがあります。政府が所有するフィリピンゲーミング公社(Philippine Amusement and Gaming Corporation (PAGCOR))がフィリピンの大半を管理しています。PAGCORは、国内のカジノや賭博場を運営しています。

二つ目は、カガヤン経済区庁(Cagayan Economic Zone Authority(CEZA))およびフリーポート、多くの人が「カガヤンフリーポート」と呼ぶエリアです。これは、マニラベイに近いマニラ・エンターテイメント・コンプレックスがメインです。フィリピンで唯一、PAGCORの完全な管理下にないエリアでもあります。フリーポートエリアには、外国人観光客を相手とした独立系のカジノが多数あります。

カガヤンフリーポートは、オンラインギャンブル認可管轄区ともなってて、このような管轄区はアジア唯一です。フィリピンのギャンブル認可は取得しにくく、オペレータはフィリピン国民からの賭けを受け付けることができません。しかし、ここでは、アジア全域へのアクセスが許されており、急速に市場を拡大しています。メインのターゲットは中国です。

PAGCORの2019年4月30日時点のウェブサイトでは、55社のオフショアゲーミング会社(Philippine Offshore Gaming Operator (POGO))が承認されています。

PAGCORの総収入の内訳をみていくと、総収入トータルも、オフショアゲーミングの規制料(Regulation Fee)による収入も年々増加しているのが見られます。

▼PAGCORの総収入内訳(単位:百万ペソ)

(出所:PAGCORを元にProperty Access.co作成)

フィリピンのゲーミングセクターは、好調な国内経済を受けて成長が見込まれており、総ゲーミング収入(Gross Gaming Revenues(GGR))の伸びにもつながります。フィリピンは、投資およびゲーム資金の流入で、オンラインゲーミングの一次市場となっています。オンラインゲーミング産業を通じた、チャイナマネーの流入も急速に進んでおり、GGRをさらに押し上げるとみられています。

オンラインゲーミング事業は、フィリピンの既存のオフィスシーンにぴったりはまります。というのも、実質的には、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)産業が必要とするスペースのインフラと同じものが必要なだけだからです。建設プロジェクトを手掛けるほど大量の資金を持っていない投資家を引き付けています。また、インドや中国との競争に直面して、フィリピンは、英語が話せるBPOの労働力の採用につなげることができるだけでなく、大切な税収源にもなります。

フィリピンの不動産市場は、フィリピンのオンラインゲーミング業が職業として仲間入りし、今のオフィス市場を先導するユーザーであるBPOオペレーションに近い将来挑んでくるのではと見られています。現在、これら二つのセクターが国内のオフィススペースの需要をけん引しています。ベイエリアでは、こうしたオンラインゲーミングオペレータによるオフィススペース需要、オペレータの従業員のためのコンドミニアム需要が好調です。コリアーズによると、オンラインゲーミング会社は、セブ、パンパンガ、ラグーナといった大規模なオフィススペースが借りられるエリアにも目を向け始めているといいますが、レジデンシャルでは、ベイエリアがマニラのコンドミニアム価格と供給を支配しています。

(出所:Asean BriefingPAGCOR


(2) コワーキングスペース

世界中のコワーキングスペースの波に乗って、フィリピンでもコワーキングスペースの人気が高まってきています。では、なぜコワーキングスペースが人気なのでしょうか。

コワーキングスペースの魅力は、「柔軟性(フレキシビリティ)」の一言に尽きます。ユーザーは自分のスケジュールを自由に管理できるだけでなく、多くのコワーキングスペースオペレータは、いくつかロケーションを持っているので、ユーザーは自分が最も便利な場所に行くことができます。

もう一つの人気の理由としては、協力関係に焦点を置いているところです。オープンで気軽な雰囲気の中、イベントなども多数催され、ユーザーがお互い交流を深めたりネットワークを広げたりすることができます。また、これらのスペースの多くは、コーヒーサービス、周辺の店舗での割引やビジネス指導などといった幅広い特典を提供しているところもあります。

では、2018年以降にフィリピンで新しくオープンしたコワーキングスペースをいくつかご紹介しましょう。
(出所:Esquire


マニラの新規プロジェクト

様々な物件が上がってきていますが、いくつかご紹介していきます。

Shang Residence Wack Wack(マンダルヨン)

Imperium at Capitol Commons(キャピトル・コモンズ)

Sunshine Fort (フォート・ボニファシオ)

Century Spire(マカティ)

Anchor Grandsuites(マニラ)

Uptown Ritz(ボニファシオ・グローバル・シティ)

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