ジョホールの投資環境と新規プロジェクト2018年

2018/05/14

ジョホールの投資環境と新規プロジェクト2018年


ジョホール州は、マレーシアの半島部最南部に位置する州で、州都はジョホール・バルです。州全体の面積は約2万平方キロメートル、人口は約280万人。ジョホール海峡を挟んだ隣国シンガポールとはジョホール・シンガポール・コーズウェイ(Causeway)で結ばれていますが、交通渋滞が激しいため、ジョホール・バル郡西部のタンジュン・クパンからもシンガポール西部と結ぶ橋(マレーシア・シンガポール・セカンドリンク)が1998年に完成しました。

マレーシアの州のなかで唯一、独自の軍隊を持っています。

マレーシア政府および民間セクターによる開発に対する強力なプッシュの甲斐あって、ジョホールは、住む・働く・遊ぶのに適した場所かつホットな投資先として世界中の投資家の注目を急激に集めています。このマレーシアの南部の州への中国、韓国、ロシア、米国および日本からの興味および投資の流入は、さらなるプラス成長と現代化が進むことを意味し、また将来の投資家にとっては今が行動を起こすのに最適であるというサインです。

探している不動産物件のタイプ(レジデンシャル/商業)にかかわらず、ジョホールは十分な準備があります。Wealthasia社は、鉄は熱いうちに打って、ジョホールを不動産投資先のリストに加えるべき4つの理由を以下のように挙げています。
 
1. リンギット安が後押し

過去数年、マレーシア経済は、石油・ガス産業の縮小を受け景気が減退し、リンギットが急落し、2016年末には1USドル=4.486リンギットとなりました。これは、4.3%の下落となり、1998年アジア経済危機のピーク時の下落よりも大きなものとなっています。つまり、外国人投資家にとって、マレーシア不動産市場には大きな掘り出し物があるということで、ジョホールも例外ではありません。


(データ元:ロイター

CBRE2017アウトルック(マレーシア)では、ジョホール南部の開発地帯であるイスカンダル・マレーシアの全体的な不動産市場は、短期的には低迷しますが、全国・地方の経済の回復にともなって盛り返しを見せるとしています。したがって、外国人投資家がジョホールの不動産市場に進出するチャンスです。というのも、近隣国シンガポール(車ですぐの位置にありながら)と比べると不動産価格も低く、物件も豊富だからです。


2. 物件のバラエティーが豊富

ジョホールは供給に見合うだけの需要がないまま急激にレジデンシャルエリアの開発を進めすぎだという当初の懸念にもかかわらず、結果としてはバラエティー豊富な物件を購入者に提供することとなりました。これには、中国企業「カントリー・ガーデンズ」により開発される、4つの島からなる総合高層プロジェクト「フォレスト・シティ」(うち、80-90%は、去年末までに売却済み)、プンゲラン・インテグレーテッド・ペトロレウム・コンプレックス、セニボン・コーブ、シンガポールとジョホール海峡を隔てた、ウォーターフロントの84ヘクタール、5,000ユニットの高級レジデンシャルコミュニティであるUMランドのスアサナ・イスカンダル・マレーシア、36階建てサービスレジデンス棟、ホテル、リテール・娯楽施設を備えた総合開発、複合用途開発UMシティ・メディニ・レイクサイド内のショッピングモールの上に建てられたサービスアパートコンプレックス、シャーマ・メディニ、およびイスカンダル・マレーシアのゾーンDにあるメリディン・イーストタウンシップ のような土地付き物件が含まれ、総開発額は50億マレーシアリンギット(11億7,000万USドル)といわれています。

不動産コンサルタント会社ナイトフランク・マレーシアによると、投資家が目をつけるべきジョホールの5エリア2017は、ジョホール・バル、ポンティアン、クライ、バトゥ・パハット、クルアンです。


■イスカンダル計画:フラッグシップゾーン

 

3.進んだインフラおよび施設開発

KPJヘルスケア社によりバトゥ・パハットに建設予定の157,500平方フィート(約14,632㎡)の新しい病院に加え、ジョホールとクランバレーおよびシンガポールとの道路および鉄道の接続性を良くするためプロジェクトがいくつも進行中です。またセナイと南北エクスプレスウェイをつなぐ新しい高速道路によりイスカンダル・マレーシアのアクセスはさらに向上することになります。トゥアス・セカンドリンクをメディニ経由でつなぐ湾岸高速道路(コースタルハイウェイ)もまた2017年11月末開通しました。そして、待ちに待ったシンガポール-クアラルンプール高速鉄道(ハイスピード・レール、HSR)プロジェクトは、ジョホール州に3つの停車駅(イスカンダル・プテリ、バトゥ・パハット、ムアール)ができる予定で、2026年12月31日操業開始を目指しています。ナイトフランク・マレーシアは、これらの駅に近い物件に注目するよう投資家にアドバイスしています。というのも、プロジェクトが実現し、沿線に交通志向型の開発(TOD)が進めば、物件価値が上昇するのは必至だからです。

■クアラルンプールーシンガポール間ハイスピード・レール(HSR)

(データ元:Singapore Land Transport Authorityを元に作成)

■イスカンダル・マレーシア:高速道路網

(データ元:Iskandar Malaysiaをもとに作成)


4.好調な経済

2016年初めより、多くの多国籍企業が、ジョホールへの移転の意向を見せたり、実際に移転してきました。例えば、セダナックにデータセンターを建設しているマイクロソフト、シンガポールのトゥアスからイスカンダル・マレーシアに移転したコカ・コーラ、ジョホールに物流ハブを設立する計画(2019年末に完成予定)を発表したアリババなどです。これは、すべてマレーシア政府による、ジョホールの指定自由貿易区に「e-ハブ」を建設するという壮大な計画の一部です。マレーシア投資開発庁(MIDA)が示したデータによると、ジョホールの製造セクターは、2016年1月~9月で180億マレーシアリンギット(42億USドル)を超える設備投資計画を呼び込んだとしています。. これは、マレーシア全州トップで、国内:海外比率は、52:48%となっています。
 
ジョホールの不動産市場には、いまだレジデンシャルプロジェクトの過剰供給があるとの懸念もありますが、不動産コンサルタント会社JLLは、これらの工場やオフィスが新しいテナントを引き連れてオープンすれば、懸念も払しょくされるだろうとしています。高価値および機会を求める外国人不動産投資家にとって、ジョホールこそがその場所であり、今がその時です。