カンボジアの投資環境と新規プロジェクト2018年

2018/05/31

カンボジアの投資環境と新規プロジェクト2018年


カンボジア

東南アジアのインドシナ半島南部の立憲君主制国家。ASEAN加盟国、通貨はリエルですが、広く米ドルが流通しています。人口1,576万人(2016年)、首都はプノンペン。1970年にカンボジア王国が倒れてから勃発したカンボジア内戦を経て、1993年に誕生しました。

南はタイランド湾に面し、西はタイ、北はラオス、東はベトナムと国境を接しています。国民の90%以上が、クメール語(カンボジア語)を話し、仏教(上座部仏教)を奉ずるクメール人(カンボジア人)です。



2018年カンボジア不動産市場

まずは、Southeast Asia Globe紙より、カンボジアの不動産関連ニュースのまとめです。

■オフィススペース埋まり始める

カンボジアのオフィスセクターが好調です。過去十年ほどでは見られなかった稼働率の高さを見せています。最初のストラタ*レベルのオフィスプロジェクトが今年完成予定で、グレードBまたはミッドレンジの仕事スペースの確保に焦点を当てています。グレードC(古い/低品質)オフィスの賃貸および稼働レベルは、2017年を通して安定していました。「市場が成熟化するにつれて、将来の供給は先細りしますが」と不動産会社CBREカンボジアのシニアダイレクター、ジェームズ・ホッジ氏は言います。「グレードAスペースの供給のギャップが見え始めています。空室率が下がる一方で、需要が伸びているのに今後の供給が限定的だからです。」と高級オフィスについてホッジ氏は付け加えました。
*区画所有権

■コンドミニアムは好調

昨年、カンボジア全土でコンドミニアムが急増し、国内合計約8,600ユニットと、前年から107%となった。供給はさらに伸びることが予想されており、2018年には13,000ユニットが完成予定です。不動産会社CBREカンボジアは、中国人がカンボジアに益々の関心を寄せる中、目覚ましい開発が進む一方で、占有率は依然堅調に推移していることに起因しているとしています。

■電気と選挙

与党への票集めのため、首相選挙を7月に控え、電気代への政府からの補助金はさらに増えるとみられています。カンボジア電力公社は、過去何年か電力料金の値下げを行っており、その額は約5,100USドル、つまり、当該会社の1年分の利益の約半分を2017年だけでカバーしました。今年、電力公社および鉱業・エネルギー省は、さらにその額を増やそうと考えています。

■海洋国立公園建設中

首相が昨年52,448ヘクタールもの土地を当てるという閣僚会議例に署名し、カンボジアは国内初の海洋国立公園を南部海岸に建設しようとしています。この国立公園は、陸地はたったの5,311ヘクタールで、コー・ロン、コー・ロン・サムロームという国内の人気の島を二つ含んでいます。環境省は、いまだ公園の境界をどことするか調査中ですが、政府関係者によると、公園は国内外の観光客をこの地域に呼び込むのに一役買うが、現地住民や地元のビジネスを混乱させることはないとしています。この公園について地元メディアが報じたのは11月、サイ・サムアイ環境相は非公式にコー・ロン島公園と呼んでいます。

■クメール語優先の建設広告

年明け前に国会を通過した法律に基づき、カンボジアの開発地に掲示される広告の作り直しが余儀なくされているます。これにより、クメール語でのマーケティングを求められているのです。国土整備省監督の本法律は、プロジェクト・マーケティングに関するこの手の規制としては初で、文化的なアイデンティティを保護するとともに、外国語による公告にありがちな誤解を招くようなマーケティングを排除しようという狙いがあるといわれています。標準チュオン・ナート辞典を使用したクメール語の文字が、バナーや標識の一番上に来なければならないとし、外国語の翻訳をその下に書くことが許可されているが、少なくともクメール語の半分のサイズでなくてはいけないとしています。関係者は、本法律は、誤解を招くような広告や翻訳、例えば、ユニットを購入することでフリーのユニットがついてくるといったようなものを排除する意図が含まれているということです。

■増加する需要を受けて、セメント工場稼働開始

国内のセメント生産への期待が高まる中、2018年2月、チップ・モン・インセー・セメント会社が5つ目となる認可工場を稼働させました。日当たり5,000トンの生産能力があるこの工場は、国内のセメント需要の約1/4、去年でいうと600万トンを越える量をまかなうものとしています。2億6,200万ドルをかけた工場は、カンダール州の110ヘクタールの土地に広がり、開発と建設用資材の需要が益々高まる中での誕生です。2017年、カンボジアは建設投資において前年比22%、総額680億ドル、計3,418プロジェクトが政府によって承認されました。デベロッパーは、建設用資材の輸入コストは、建設コストの中でも大きな部分を占め、カンボジアの地方開発における財政を削ってきた、と述べています。

 

▼プノンペンの地価推移、平均で前年同期比+6.6%

(出所:CBREリサーチ、2017年第4四半期)


また、プノンペンポスト紙は、2018年の不動産セクターについて次のように報じています。

2018年のカンボジアの不動産市場について、専門家および投資家は楽観的な見方をし、セクターの成長に自信を見せています。

CBREカンボジアのカントリー・ディレクター、アン・ソティダ氏によると、2018年、コンドミニアム13,000ユニットが追加で市場に投入されるとのことで、新たな投資を呼ぶだけでなく、地元の賃貸市場を拡大させるとしています。オフィスリースの需要も引き続き好調で、グレードB、グレードCのビルの需要が高まるでしょう。リテールセクターもまた堅調で、2018年には国際的なショッピングモールが2棟オープン予定です。

「FDIの流入もまた、急減することなく安定的で、この市場が関心を集め、家およびボレイ(ゲーテッド・コミュニティ)の売買で利益を出すのに役立っている」とソティダ氏は述べています。「ボレイは今では適正価格となっており、ボレイが現地のバイヤーに焦点を当てているため購買傾向も上々です。」

センチュリー21カンボジアのエグセクティブプレジデント、グレース・ラチニー・フォンは、不動産市場は2017年から変わりないとしています。2018年は、大きなプロジェクトが2つローンチし、市場をより強固なものにするでしょう、と語りました。「FDIの流入を見ると、停滞気味でやや減少傾向を見せるかもしれません。ヨーロッパの投資家が懸念を見せているからです。」とフォン氏は言いました。「しかし、アジアからの投資家は続々とやってきています。」

センチュリー21メコンのCEOチレク・ソクニム氏は、来たる国民選挙と不動産価格がピークに達していることから、2018年は厳しいと言います。チレク氏は、価格が現在のレベル以上に上がることはないだろうとしています。

「地価が下がることはないでしょう。しかし、バイヤーの数はあまり増えていないので、土地を売るのが難しいでしょう。」ソクニム氏は言います。「価格が下がるとしても、2008年の下落ほどの下落は見せないでしょう。というのは、2018年、投資家は銀行ローンを使うからでしょう。2008年以降、投資家は現金での購入に集中してきましたから。」

「コンドミニアムの市場は不安定ではありません。」とソクニム氏は付け加えます。「売買の数字を見てみると、カンボジア人がコンドミニアムを購入する数が5%ほど上昇しています。」

カンボジア不動産協会のキム・ヒアン会長は、地価が動くことに期待しているといいます。というのも、過去数年は売り手が価格を勝手に決めることができていましたが、今では買い手が価格を決めているからです。

「住宅市場は、引き続き好調です。しかし、リーズナブルな価格の家は需要が高まっています。」とヒアン氏は言います。

カンボジア住宅開発協会のリー・ハウア氏は、建設および不動産セクターへの投資は引き続き安定的だとしています。低価格帯の住宅は依然として需要があり、このセクターは引き続き国内外の投資家の関心を集めるだろうといいます。

「今年は、国内投資家から海外投資家の流入まで、すべてがうまくいっています。」とハウア氏は言い、中国、韓国、日本、シンガポールからの投資家が依然としてカンボジアに来ている旨を加えました。

 


注目プロジェクト

コンストラクション&プロパティ誌は、住宅用コンドミニアムの注目プロジェクトについて以下のように報じています。

プノンペンの住宅用コンドミニアム市場は、ほとんど外国人バイヤーによって支配されていますが、プノンペンのアッパーエンドの物件で売れ行き好調のもの、例えばボダイジュ・レジデンスやザ・ピークは、カンボジア人バイヤーの関心を集めています。発売開始以降から現在まで、60%~50%のバイヤーがカンボジア人です。

「ロケーションがよくて提供するパッケージがよい住宅物件には、前向きな需要があります。」ソッカ法律事務所のチャン・ムロップ・ソッカ氏は言います。

成功の秘訣は、効率的で魅力あるレイアウトにロケーションが加わっていることです。すべてのユニットは、使用可能スペースを最大限に生かしており、美しく近代的な庭園の中にあります。市場では今後、投資目的として住宅用ユニットの購入に興味を持つカンボジア人の増加がみられるでしょう。これらのプロジェクトのコンセプトがこういったローカルバイヤーの必要条件に合っているのです。」

中には、バイヤーが、こういった賃料収入の見込めるプロジェクトのデベロッパーが運営するレンタルプログラムに加入できるケースもあります。もっとも重要なのは、益々多くの人にこのようなタイプの投資を購入する機会があるといういことです。というのも、これらのプロジェクトは多額の頭金を必要としないからです。

ボダイジュ・レジデンスは、プノンペン国際空港にほど近く、アスマー・アーキテクトによる設計で、1、2、3ベッドルームのコンドミニアムユニットを提供しています。マレーシアのライオングループによるマレーシアのデパート、パークソンを含む、ワンストップのファッション、ダイニング、エンターテイメントを提供するライフスタイルショッピングモール、ライオンモールもレジデンスからは遠くありません。この6階建てのライオンモールには、およそ45,500平方フィート(約4,227㎡)の賃貸可能スペースがあります。

オクスレーホールディングスのプノンペン第二のプロジェクトとなるザ・ピークは、プノンペンの中心にあり、メコン川に面しています。この物件はフリーホールドで、複数棟の55階建ての建物で、住居棟は2棟で計1,014ユニット、スタジオタイプのアパートから、1、2、3ベッドルームとペントハウスのコンドミニアムユニットを提供しています。これには、オフィスユニットと有名なシャングリラホテルの入る商業タワーも含まれ、リテールスペースが5フロアあります。ザ・ピークの建設は、2016年初旬に始まり、2020年完成予定です。

「AEON2の近くのアーバン・ロフト、セントラルマーケット近くのオーラ・コンド、ザ・ブリッジといった、地元のバイヤーからも多くの関心を集めているプロジェクトがいくつかあります。」とラタナカ・リアルティCEOのチヘイレアン・ギュオン氏は説明しました。