グローバル不動産透明性インデックス2018:トップ改善国

2018/08/13

グローバル不動産透明性の向上をリードするトップ改善国



JLL社が発表したグローバル不動産透明性インデックス2018年。透明性インデックスの中でも、大きな改善を遂げた国々についてご紹介していきます。

グローバルレベルで透明性がますます進歩することによって、個別の市場においても透明性が大幅に改善されていることが埋もれてしまっています。改善が最も進んだ国としては、ミャンマー、続いてコロンビアとドバイです。改善国トップ10は、それぞれ全く異なる市場グループから構成されており、その進化のステージも様々で、異なる地域内の、異なるけん引要素によって改善がされました。


2016年~2018年 透明性トップ改善国

Top Transparency Improvers, 2016 – 2018(出所: JLL, LaSalle Investment Management)


改善のけん引要素

JLL社は、これらのトップ改善国の中でも4か国についてさらに詳細の分析をしています。


■ミャンマー(トップ改善国1位、区分:透明性低い)
ミャンマーは、世界中のどこの国よりも大きな改善を見せました。透明性の改善は、ミャンマーの政治改革と密接に関係しています。25年ぶりの総選挙を受け、国内では市場の「開放」に向けた一致団結した取り組みが見られ、投資家の需要は増加、より高度な市場戦略情報の必要性が急激に増しました。

▶ミャンマーの投資環境と新規プロジェクト2018年についての記事はこちら(1/22/2

■ドバイ(トップ改善国3位、区分:やや透明)
ドバイの公共部門は、何年もの間、積極的に透明性に関する課題に取り組んできました。その甲斐あって、ドバイは、引き続き中東および北アフリカを先導する市場となっています。政府は、法制度、プロップテック、リース携帯および建物の区分に関する新しい取り組みを次々に押し出す一方で、ドバイの不動産業は成熟、新しい種類のデータも入手できるようになるなど、多様化しました。

■オランダ(トップ改善国7位、区分:透明性高い)
オランダは、透明性の境界を押し上げ、業界の新しい技術と構造的な変化を受け入れてきました。斬新なプロップテックのツールを採用し、「スマート」ビルディングからデータ集約まですべてをカバーする、先進的な市場の一つです。これにともなって、「オルタナティブ資産」セクターにおける入手可能なデータに幅が出て、またそのレベルも高まりました。

■インド(トップ改善国10位、区分:やや透明)
モディ政権の元、幅広い改革案が導入されました。特に、不動産の開発・販売規制に関する法律(Real Estate (Regulation and Development) Act, 2016 (RERA))*により、デベロッパーの説明責任、入手可能な情報の改善、消費者の保護の改善が見られました。市場の基礎的条件も改善、不動産に対する外国直接投資(FDI)の自由化および公有となる情報の強化が、透明性の改善を支えました。

*不動産の開発・販売規制に関する法律(RERA):2017年5月施行。これまでの行き過ぎた売り手優位の不動産市場や不透明な商慣行の是正、そして多発する工期の大幅な遅延の解消を目的として制定されたもので、不動産市場に変革をもたらしつつある。同様に、2017年7月に施行された物品・サービス税(GST)もまた、不動産市場に大きな影響を与えている。GSTの税率は、建築中物件は12%だが、完工後(即入居可能)物件は0%となっている。これまでデベロッパーは建築途中の物件を市場で販売し、そこから得られた資金を別のプロジェクトに流用するなどして、プロジェクト数をいたずらに増やしてきたが、この慣行が工期遅延の温床となっていた。しかし、RERAやGSTの施行後、これまでの建築中物件優先の販売から完工後物件の販売へ選好が移りつつある。 (出所:JETRO

(出所:JLL

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