[シンガポール] シンガポールにおけるコリビング

2018/08/10

シンガポールにおけるコリビング


シンガポールにおけるコリビング*は、過去12か月で前例にない動きをみせました。その拡大ブームに乗るために、オペレーターに何百万ドルもの資金がつぎ込まれました。この市場に対する投資家の楽観的な見方は増え、コリビングの時代がついにやってきたのかという質問が持ち上がっています。

過去を振り返ると、シンガポールにおけるコリビングの道のりは険しいものでした。13やテックスクアットなどの市場への早期参入者が、2014年、2015年に華々しいファンファーレとともに開業しましたが、資金、法令、文化の面で様々な課題に直面し、1年とたたずにそのほとんどは亡き者となりました。

コリビング市場は、楽しく、手間がかからない住まいのオプションを求める外国人の間で、便利で、コミュニティ重視、かつ手頃なソリューションとして認知されて以来、ここ数か月で盛り上がりを見せています。コミュニティ活動に必要な広々とした共有スペースのある共同アパートにおいてプライベートな空間を提供することで、コリビングは、ミレニアル世代の外国人の住宅ニーズに訴えかけています。技術の力を借りて、オペレーターは、同じような考え方を持つ人々を集めることができます。コミュニティ管理者が常駐し、メンバー間の交流を盛んにるべく、定期的にソーシャル/仕事関連のイベントを企画します。


市場のシェアを伸ばそうとする新しいプレイヤーの中に、シンガポールを拠点とするスタートアップHmlet、上海を拠点とするスタートアップMamahome、アスコット社によるミレニアル世代をターゲットとする新しいリビングブランド、lyfなどがあります。


若い外国人のニーズにこたえるコリビング

シンガポールにおいて、コリビングスペースに魅力を感じるのは、特にミレニアル世代の外国人です。契約ベース、またはプロジェクトベースで仕事をする、単身赴任の外国人が増える中、需要は急激に伸びました。コリビングオペレーターによるワンストップサービスは、従来のように部屋を借りるよりシンプルで、サービスアパートやホテルを借りるよりも安い、代替の住まいのオプションを外国人に提供しています。同じ観点で、地元の大学に交換留学している研究者や学生の中にも、滞在中のつなぎとしての住まいのオプションとして、コリビングに目を向ける人もいます。


シンガポール人の間ではまだ抵抗も

シンガポールの狭い国土と高い持ち家率。シンガポール人の間では、このコリビング市場はかなり限定的です。物価の高さと、実家で何でも面倒を見る文化により、若い世代が親元を離れる傾向が少ないのです。というのも、賃貸料を払う金銭的な余裕もなく、実家の心地をよさを捨てられないのです。


結論

シンガポールにおけるコリビングの概念が勢いを増していますが、顧客基盤の大半は、短期的には、シンガポールにおいて現在少数派グループを形成している若い外国人によるによるものでしょう。コリビングがミレニアル世代において住まいのオプションとして人気を高める一方で、金銭的な制約の問題が常に彼らの頭にあります。シンガポール人のミレニアル世代が大人になり、購買力をつけた後、この住まいのコンセプトを試してみる人が増えるのを見るのは面白いでしょう。

(出所:JLL


*コリビング:コワーキングという概念が一般化するなかで、その次に台頭しつつあるのが、人々が共に暮らす“コリビング(co-living)”というスタイルだ。コリビングに用いられるのは都市部の住民たち向けの家具付きのアパートで、共同キッチンや共有スペースが充実している点が特徴。さらに、コミュニティを重視する姿勢がミレニアル世代の支持を集めつつある。(出所:Forbes